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濃口醤油と薄口醤油は代用できる?その違いと塩分濃度について

      2015/09/17

濃口醤油と薄口醤油は代用できる?その違いと塩分濃度について

日本人に馴染み深い調味料「醤油」。調理に使われることはもちろん、刺し身や寿司、天ぷらや蕎麦など様々な日本料理の基本となっています。

そんな醤油に「濃口醤油」「薄口醤油」があるのはご存知でしょうか?その違いや使い方についてご紹介致します。

濃口醤油とは

一般的に「しょうゆ」といえば濃口醤油のことを言います。

大豆と小麦をほぼ同量使い、半年以上の長い時間をかけて発酵・熟成させて作られます。

調理用、卓上用を問わずどちらにも使え、どんな料理とも相性が良いのが特徴です。全国的に幅広く使用され、日本の醤油生産量の83%を占めています。

薄口醤油とは

一方、薄口醤油は関西地方を中心に広く使われている醤油です。濃口よりも色が薄く、香りも弱い醤油です。

兵庫県竜野地方発祥とされる関西うまれの醤油で、原料も製法も濃口醤油とほとんど同じですが、色を薄く仕上げるため、塩分を多めに加えたり、発酵・熟成中の際の温度を低めに設定して作られています。仕上げに甘酒を加えるのが特徴的です。

日本の醤油生産量としては14%を占めています。

「濃口醤油」と「薄口醤油」の違い

はっきりとした違いは農林水産省のJAS規格によって以下のように定められています。

こいくちしょうゆ

しょうゆのうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの又はこれに米等の穀類を加えたものをしょうゆこうじの原料とするものいう。

うすくちしょうゆ

しょうゆのうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの又はこれに米等の穀類若しくは小麦グルテンを加えたものをしょうゆこうじの原料とし、かつ、もろみは米を蒸し、若しくは膨化したもの又はこれをこうじ菌により糖化したものを加えたもの又は加えないものを使用するもので、製造工程において色沢の濃化を抑制したものをいう。

製造工程において明確な差がありますが、一般消費者にとっては商品を見ただけではわかりにくく、気付きにくいことかもしれません。

  • 香り
  • 塩分濃度

わかりやすいのは、この3点に大きな違いがあることです。

濃口醤油と薄口醤油は代用できる?その違いと塩分濃度について

出典:spotlight

名前にもなっている「こいくち」「うすくち」というのは、味の表現ではなく色の表現です。色が濃いか薄いかの違いということになります。

香り

濃口醤油は濃厚な風味と強い香りがあるのに対し、薄口醤油は穏やかな風味と軽い香りがあります。

動物性の中でも特に魚類特有の臭みを消し、醤油の風味をつけるために発達してきたのが濃口醤油です。それに対し、薄口醤油の軽い香りは素材自体が持つ香りを活かした季節感を味わう料理に最適とされています。

塩分濃度について

「うすくち」と「こいくち」では、わかりにくいですが、塩分濃度に関しては「うすくち」の方が高く、「こいくち」の方が低いです。実際に確認してみると…

濃口醤油と薄口醤油は代用できる?その違いと塩分濃度について

濃口醤油の成分表では食塩相当量2.4gとなっています。食塩分が約16%です。

濃口醤油と薄口醤油は代用できる?その違いと塩分濃度について

薄口醤油の成分表では食塩相当量2.9gとなっています。食塩分は約18~19%です。

濃口醤油より20%ほど薄口醤油の方が塩分量が多いことになります。

代用できるのか?

これまで見てきた特徴から、どちらも同量ずつ使っての代用は難しいです。

しかし、薄口醤油の代用方法と言いますか、濃口醤油を使って色を薄く仕上げたい(色を濃くしたくない)場合は、濃口醤油を少量加え、塩で味を調えるという方法があります。

薄口醤油を切らしてしまった場合やない場合など応急処置的には有効ですが、決して薄口醤油を使った状態と同じになる訳ではありませんのでご注意ください。

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